こんにちは、お越しのみなさま。英文を読んでいて、Attributionという単語に出会い、辞書を調べたのに、いまいちわからないのですよね?
「帰属」や「〜に帰すること」、という辞書の定義を当てはめてもしっくりときませんよね。
さらに深く調べて、Attribution of A to B (Aの原因をBにすること)に辿り着いたかもしれません。「AをBのせいにすること」と説明されていることが多いですが、いつでもこの訳が当てはまるわけでもありません。
やはりよくわからなくてネットを調べ回したのではないでしょうか。
そんな迷える人々を救いたいとおもい、この記事を書きました。ここがAttributionの意味を調べる旅の終着点になれば幸いです。
いまいち日本語にしづらい、Attribution の意味とは?
辞書を調べるとAttributionの意味は、「帰属」「〜に帰すること」とありあります。
まさにこの意味で正しいのですが、「帰属」自体が日本語でも曖昧だし、Attributionは日本語にない発想の使われ方がされるので、理解が非常に難しいです。私も苦労しました。
こういう抽象的な単語は、ふわっとした概念で覚えると応用が効き、理解しやすいです。
Attributionの根源的な意味は「何かを何かへ帰属させる、あるいは当てはめること」です。
Attributionの根本的な意味:
- 何かを何かに帰属させること
- 何かを何かに当てはめること
これだけだと、なにかふわっとしてイメージが掴みづらいですよね。
しかし、英語と日本語は根本的に違う言語なので、最終的にはこのようなふわっとした解釈で覚えるしかありません。
Attribution のこのフワッとした意味をマスターしていただくため、順をおって、例文を使いながら解説していきます。
まずは、よく使われるイディオム、Attribution of A to B からスタートするのが理解への近道です。
何を何に帰属させるか、が明確にわかるからです。
Attribution of A to B の捉え方
Attributionは「何かを何かに帰属させること」と説明しました。
これを、Attripution of A to B とすると、何を何に帰属させるのかをよりはっきり表現できます。このイディオムの意味は「AをBへ帰属させること」または、「AをBへ当てはめること」です。
そこから発展させて、「Aの源をBとすること」というニュアンスにもなります。
Attribution A of B の根本の意味:
- AをBへ帰属させること
- AをBへ当てはめる事
- 上の2つを発展させて考えて、「Aの源をBとすること」
図解すると以下のようになるイメージです。
非常にフワッとしたイメージですが、これがAttribution A to B の正体です。
これを日本語にするとさまざまな意味になってしまう、ということです。例文を使いながら説明していきます。
Attribution of A to B の例文
Aの原因はBと考えること
一番わかりやすくて、辞書でもよく説明されるが「Bの原因をAとすること」。
Her attribution of her laziness to her genes is just an excuse. (彼女が自分の怠惰を遺伝のせいにするのはただの言い訳だ。)
イメージとしての捉え方は「怠惰を遺伝に帰属する」。これが転じて「怠惰の原因の源を遺伝のせいにする」、というニュアンスになるわけです。
もう一つ例文を紹介します。
This paper distinguishes between attribution of malicious cyber activity…, to a specific human…, and to a party….
訳: この論文では悪意のあるサイバー活動を、ある特定の人間を原因にする場合と、ある団体を原因にする場合とに区別しています。
Attribution of Malicious Cyber Incidents
Distinguish between A and B との合わせ技になっています。
これも「悪意のあるサイバー活動の源を特定の人間とする、特定の団体とする」、というイメージです。
出典を表す
Attribution A to B は出典を表すのに使うことがあります。
The attribution of the painting to Van Gogh has not been confirmed yet. (この絵の作者がゴッホだというのは、まだ証明されていない。)
これもイメージは「その絵の源をゴッホにする」、というイメージですよね。これが転じて「その絵はゴッホが描いた」、になります。
絵が作者の元に帰っていくイメージです。
Aという性質をBに当てはめる
さらには、性質、特質を何かに対して当てはめる場合もAttribution A to Bは使われます。
Personification is the attribution of human qualities, characteristics, or behaviours to non-humans, ….
訳: 擬人化とは、人間の特質、特徴、あるいは行動を人間以外の物に当てはめることである。
Fiach Smyth, Opposite Of Personification
もう一つ例を挙げます。
…the attributing of eros to God is … an attribution of passion to the … Nature of God.
かなり意訳: 神も(人間と同様に)性愛を感じると考えるならばそれは、神はまた(人間と同様な)情熱のような感情をも持っている、と考えているということである。
James Larson, The War Against Being
Attribution が日本語にはない発想なので、上の文は本当に理解するのが難しいとおもいます。しかし、イメージとして捉えるならば、
「情熱を神の根本的な性質として当てはめる(帰属する)」、つまり、「情熱を持つということは、神の根本的な性質であると考える」です。
以下は上と同じ論文からの抜粋です。
…the attribution of passion to any being is to subject that being to yearning, desire, and need, and therefore to incompleteness and dependence.
意訳: ある生物が情熱を持つということは、その生物が切望や、欲望や、欲求を持つということであり、そしてそれゆえにその生物は不完全で依存しているということになる。
James Larson, The War Against Being
Attribution of passion to any being の部分は「情熱をある生物に当てはめる」、つまり「ある生物が情熱を持つと考えること」という意味になっています。
以上のように、Attribution は日本語にしてしまうと色々な意味になって混乱するのですが、あくまで基本の意味は「何かを何かに帰属させる(当てはめる)行為、考え」です。
日本語にはない発想で、理解が難しいですが、なんとかイメージとして捉えていきましょう。
上に挙げた例文をみればわかるように、Attribution という単語に出会って、理解できない時は、「何を何に帰属させる(当てはめる)ことを言っているのか」を探るのが解釈の第一歩となります。
Attribution of A to B 以外の形式の例文
さて、いままでで述べたように Attribution の根本の意味は「何かを何かに帰属すること」です。
これを日本語にするとさまざまな意味になり得るのでしたよね。
今までは Attribution of A to Bの形式だったので、「何を何に帰属させるのか」がまだわかりやすかったです。
さて、ここからがちょっと難しくなるところです。
Attribution は Attribution of A to B の形式で出るとは限りません。
しかし、それでも Attribution の基本的な意味は「何かを何かに帰属すること」です。例文で確認してみます。
Attribution of Aの形式での意味
論文のタイトルで、こんなのがあります。
Understanding Contemporary Forms of Exploitation: Attributions of Passion Serve to Legitimize the Poor Treatment of Workers
思いっきり意訳: 現代の搾取の形態への理解: 情熱をもって仕事をする事が労働者への低待遇の正当化を助長する。
Understanding Contemporary Forms of Exploitation: Attributions of Passion Serve to Legitimize the Poor Treatment of Workers
思いっきり意訳してしまいましたが、Attribution of passion で「情熱の(何かへの)帰属」です。その何かは説明されていません。
その「何か」は労働者の気持ち、かと考えます。「情熱を労働者の心に当てはめる」、つまり、「労働者が情熱をもつ(もたせる)」というニュアンスだと思います。
あるいは、「情熱を仕事に当てはめる」ことかもしれません。
いずれにしても、この文はいわゆる「やりがい搾取」についての論文ですね。
もう一つ、Attribution of Aの形式の例を挙げます。あるエッセイのタイトルで使われていました。
Lisa Wade氏のAttribution of Intelligence というタイトル記事があります。「知性の帰属(当てはめ)」。なんのことやら分かりませんよね。
これは「知性というものを(どこかに)帰属させる行為」のことです。これでもわからないですよね。
さらに意訳すれば、「知性の根拠を(どこかに)求める行為」です。
Wade氏のエッセイの内容は、「小難しい文学小説を所有していたが、博士号を取得した後、それらを全て処分するために寄付してしまった。それらの本で自分の知性を証明する必要がなくなったからだ」という感じです。
自分の知性の源を、「小難しい小説を所有すること」、から「博士号を取得したこと」、へとシフトしたという趣旨です。
だから、このタイトルに、何に帰属させるか、を付け加えるなら、以下のような感じになるかもしれません。
Lisa Wade氏のエッセイのタイトルのAttributionにToを付け加えると、、、
- Attribution of intelligence to owning classic novels (知性の根拠として古典小説を所有すること)
- Attribution of intelligence to earning a PhD (知性の根拠としてPhDを取得すること)
Attribution単体での用法
思うに、英語圏の人は、Attributionの「何かを何かに帰属する(当てはめる)」という概念に非常に慣れ親しんでいるあまりに、特にこの「何かを何かに」の部分を明確に示さなくても理解できてしまうのだと思います。
だからAttributionにはof~も、to~を付けないで、「何かを何かに」の部分を特定しない場合があります。
一番わかりやすいのが、文脈から、何が何に帰属するのかわかっている場合です。例えば以下のような会話例:
A: Sure, I maybe lazy, but it is not my fault. It is because of my genes. (確かに私は怠け者だが、私の責任ではない。遺伝のせいなのだ。)
B: That attribution is incorrect! (それは間違いだ。)
上記の会話では「何が何に帰属するのか」が文脈から明確です。Attributionは「怠惰を遺伝のせいにしていること」を指しています。
別の例を示します。
Fundamental attribution errorという用語があるようです。心理学の用語でしょうか。「根本的な帰属の誤り」と訳されているようです。よくわかりません。
どうやら人の性格をその人の行動から結論づけてしまうことの誤りのことのようです。下の動画をご覧ください。
エリックにそっけない態度をとられた人は、その理由はエリックが社交的でない性格をしているからだと結論するだろうが、それは間違いかもしれない。彼のそっけない態度の理由は、彼女と別れたからかもしれないし、身近な誰かを亡くしたからかもしれない、というのが動画の内容です。
エリックのそっけない態度の理由を彼の性格に帰属する間違いをFandamental Attribution Errorと言っているのです。これを以下のように英文にすれば、このAttribution の用法が理解できるでしょう。
The attribution of Erick’s unfriendly behavior to his character might be incorrect. (エリックの社交的でない態度が彼の性格からくるものだとの考えは間違いかもしれない)
まとめ
以上、Attributionの意味を解説してきました。
Attributionの根源的な意味は「何かを何かに帰属させること」です。フワッとした意味ですが、日本語と英語は違う言語なので、このようなイメージでとらえるしかありません。
Attribution of A to B で「AをBに帰属させること」ですが、このイディオム以外でもAttributionは使われます。
しかし、基本の意味は「何かを何かに帰属させること」です。
最後までお読みいただきありがとうございます。コメントを残していただけると作者が喜びます。
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