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米国で解雇された50代、やる気なしでも再就職できた理由とは?

私はアメリカ、ミシガン州で自動車部品設計のエンジニアをしていました。あるヨーロッパ系の自動車部品の会社です。そこでいきなり解雇になりました。

2020年2月のことです。朝出社すると突然上司に呼ばれ、会議室に連れて行かれました。そこでいきなり「本日で君を解雇する」旨を告げられました。

こうなるとさっぱりしたもので、すぐさま自分の机に行き所有物を慌ただしく箱に詰め、建物の鍵を返却してその日は帰宅しました。

解雇を告げられてから建物の外に追い出されるまでおおよそ15分、この時年齢は50歳でした。

アメリカでは雇用において年齢で差別するのは違法というのはご存知かと思いますが、

ゆずピザ
ゆずピザ

実際、高齢者の再就職ってどうなのよ?

というのは、アメリカで就職を考えている人にとっては気になるところではないでしょうか。

アメリカでは突然解雇されることは珍しくないので、たとえ就職できても、高齢になって解雇されたらどうしよう、と不安になりますよね。

私は50歳にして会社を追い出されたわけですが、幸いにも2021年8月に再就職することができました。

再就職までの期間はおおよそ1年半ほどでした。

期間はかかりましたが、それでもなんとか就職できたわけです。

そこで今回は、高齢にもかかわらず就職ができた理由を考えてみます。

50代でも再就職できた理由

さて、今回はめでたく雇用していただける会社を見つけることができました。新しい職種も自動車部品の設計エンジニアです。

一体何が雇用の決め手だったのでしょう。

高齢者であるにもかかわらず雇用してもらえたからには、何か私を雇うメリットを感じてもらえたからのはずです。

そこいらへんを考察してみます。

人手不足の職種だった

職種が人手不足の分野であったことが挙げられるでしょう。

私は10年以上機械エンジニアとして働いてきました。

エンジニアは米国では不足しているようで、常にさまざまな会社が募集しています。LinkedInからは、毎日のように数件のエンジニア募集のメールが送られてきました。

再就職までには1年半を要しましたが、こまめに応募していればもっと早くに仕事が見つかったかもしれません。

経験が認められた

私はエンジニアとして10年以上働いてきました。特に自動車業界ばかりを渡り歩いてきました。なので、業界での製品開発の流れを一通り経験していました。

設計する部品は違ってもこういうプロセスには共通点があります。その経験を買ってもらうことができました。

実際に働き始めると、担当している製品の事はまだまだ勉強中ですが、今までの経験がすごく役に立っています。

日本語ができるエンジニアだった。

そして今回の採用で一番の決め手になったことは、日本語かと思います。

当然ですが、私は日本語ができます。日本語+エンジニアというのは結構需要があるのです。日本の本社と米国の支社でのコミュニケーションがうまくいっていなくて困っているという会社は多数あります。

今回、私を雇用してくれた会社も日系です。

今回雇っていただいた会社では全く未経験の製品の設計を任されることになったのですが、日本語ができることが1番の決め手となりました。

日本の本社から技術を学んで北米の支社でも設計ができるようになることを期待されています。

就職活動でにやったこと、LinkedInにのステータスを変更しただけ

というわけで、時間はかかりましたがなんとか再就職ができました。ここでは私が行った就職活動について記します。

まず最初に行ったことは履歴書の改訂です。過去に使った履歴書に最新の職歴を加え、古い職歴は見直して、場合によっては簡素にまとめ直します。

そしてその最新の履歴書を自分のLinkedInのアカウントにアップロード、そして自分のステータスを「ただいま求職中」に変更しました。

こうすると、リクルーターや会社の人事の人の目に留まり、興味を持って貰えば連絡が入り、仕事を紹介してくれます。

LinkedInというのはSNSの一種です。構造的にはフェイスブックに似ているでしょう。ただ、その目的はキャリアアップや、仕事上のネットワークの構築を目的としており、ビジネスでの繋がりのためのSNSです。

登録者は自分の職歴や経験、得意分野などを乗せています。

さて、LinkedInでステータスを「求職中」に変更した後、次に行ったことは、、、

じつはこれだけです。他にはなにもやってない(汗)

はっきり言うと今回の就職はあまりやる気がありませんでした。なんか色々と疲れていました。嫁のルーシーは働いているし、私も3年くらいは収入なしでやっていける貯金がありました。めんどくさかったので失業手当の手続きもしないという始末です。

ゆずピザ
ゆずピザ

というわけでLinkedInの私の履歴を見て連絡してくるリクルーター頼みとなりました。

こんなにズボラだったのと、たまたま解雇の直後にコロナ禍に見舞われて、最初の数ヶ月は1〜2件ほどしか仕事の紹介をいただけませんでした。

あまり反応がなかったのは解雇されてすぐにコロナ禍になってしまったのも一因かもしれません。

そのコロナ禍が落ち着いたのか、2021年の4月あたりからリクルーターの方達から連絡は入るようになってきました。

大体2ヶ月に2〜3回の連絡が入りました。

そしてついに、1年半という期間を費やしたとはいえ、50代でも雇用してもらえました。

けっこう怠けていたのにリクルーターの方に職を見つけていただいたのには本当に感謝しています。

50代の再就職に必要だと感じたこと

と、以上が私が高齢にもかかわらず雇用してもらえた理由だと考えます。

50代でも雇うことにメリットを感じてもらえれば十分に再就職は可能です。

さて、高齢になってからのアメリカでの就職に必要なことは何かを考えてみます。

とにかく即戦力。特定の分野での知識が豊富だと強い

高齢者のセールスポイントはなんと言っても即戦力だと感じました。

50代の人間を1から教育しで育てようという会社はあまりないでしょう。なので、紹介していただいた職種も私の職歴と非常に近いものが大半でした。

経験のある、高齢者の就職だと、特定の分野での深い知識が求められるポジションばかりでした。

1年半の求職期間中、リクルーターから紹介していただいた職種は、設計エンジニア、セールスエンジニア、機械部品のプロジェクトマネージャーなどでした。

そしてその全てが自動車部品関連、それも私が手がけてきた製品のエンジニアの募集が多かったです。私の履歴を見て、出社1日目から戦力になるであろうと思っての紹介です。

ゆずピザ
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過去の職歴と募集しているポジションがピンポイントでマッチされているのが理想とされている印象を受けました。

特定の部分のエキスパートを求めている感じです。数社とは面接まで行きましたが、求めている製品に対して深い知識や経験がないと即座にふるい落とされたりしました。

経験を積んでおく

高齢やを雇うメリットは「即戦力」です。働き出してすぐに戦力になることをアピールできれば非常に有利です。

即戦力なので、会社の要求はピンポイントです。自動車部品の設計でも、かなり細かい専門的な知識を要求されました。「広く浅く」ではなく、「深く狭く」の経験を問われました。

ゆずピザ
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これは高齢になればなるほど、より「深く狭く」なると感じます。

経験を積めば給料も高くなってくるので、深い専門知識が要求されるのです。

今回の求職中、米系の企業で面接をさせてもらったのですが、まさにこの「エキスパート」な専門知識を要求されました。

0からの製品開発の陣頭指揮をとって、顧客とのコミュニケーションの窓口にもなってほしいと言われたのです。

非常に魅力的でしたが、あいにくその製品の開発の経験は半年ほどしかなく、期待に答えられそうにないことを伝えました。もちろん面接は落ちました。

ゆずピザ
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余談ですが、面接では自分の経歴を盛って話さない方がいいです。色々できるようなことを言って採用されて、化けの皮が剥がれると結構簡単に首になります。そういう人を何人か知っています。

このように、高齢になってからの就職は即戦力が求められるわけです。

しかし、「深く狭い」経験があっても、それが会社のニーズにマッチしていなければならないので難しいところです。

このように自分の経験と会社が求める能力が「ベストマッチ」しなければならないので、求職期間が伸びてしまうのです。

これが若い頃となるとちょっと事情は違っていました。

若いエンジニアを雇う企業であれば、多少の訓練期間は想定してくれます。その代わり給料が安いという感じですね。

私は一度、転職の際に製造から開発に職種を変えたのですが、若かったし、給与が低かったので比較的簡単に転職できました。

まぁ、でもこれはエンジニアの話であって、マネージメントのポジションだと状況は違ってくると思います。

コネを持っておく

高齢になってからの再就職ではコネも重要になってきます。

長い間働いていれば職場の同僚やお客様としてお付き合いした方など、ネットワークが自然と増えていきます。これを大切にすべきだと思います。

私は、今回の就職活動では、プライベートで知り合った友人(メキシコ人です)のコネで仕事を紹介してもらいました。

彼は日系の会社に勤めており、私が職を探しているのを覚えていてくれて、エンジニアのポジションを紹介してくれたのです。その会社は第2面接までいきました。

ゆずピザ
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残念ながらオファーはもらえませんでしたが。

他にも、今回ではありませんが、前回、数年前の転職では元いた会社の同僚に紹介してもらって決まったものでした。

このようにコネが結構大事です。普段から多くの人に親切にしてあげると良いです。

コネを持つのにLinkedINは最強

コネをもつという意味でもLinkedInへの登録は必須と感じました。

再就職には、2012年頃まではMonster.comからの反応が主でしたが、今回の就職ではほとんどがLinkedInの私の履歴を見て連絡をいただいたリクルーターや会社がほとんどでした。

まぁ、LinkedInでしか「求職中」の情報を公開していなかったので当たり前といえばあたりまえですが。

しかし、リクルーターの方以外でも、LinkedInで繋がっていた以前取引のあった会社の方から、履歴書をくれればちょっと気にかけてあげるよ、という親切な申し出があったりもしました。

LinkedInは就職活動には非常に強力な武器だと思いました。

たとえ今現在職を探していなくても、アメリカで働こうと思うなら絶対にLinkedInに登録しておくべきです。

仕事の上でお付き合いのあった人と繋がっておけば、職を失った時にそっちから仕事の紹介があったりもします。

貯金をしておく

私は職を見つけるまでに1年半ほどかかったわけですが、貯金が十分にあり、なにもしなくても3年以上は生活できる状態でした。それに嫁のルーシーも働いています。

なので、あまり焦らず職探しをすることができました。条件が合わない場合にはお断りする余裕もあったのです。

高齢になると職探しは長引くと思うので、貯金して常に最悪の事態に備えておくことが重要だと思います。

高齢者は再就職に不利か

このように時間はかかりましたが、50代でもなんとか職を見つけることができました。が、高齢者は就職には不利なのでしょうか?

結論から言うと、私は高齢なのは再就職には不利だと感じました。

2004年からアメリカで働き始めましたが、職は6回変わりました。しかし、次の職までに1年以上開いたのは今回が初めてです。

ほとんど就職活動をしなかったとはいえ、若ければもう少し早く職が決まったような気がします。

10年ほど前にも、より高給を求めて転職活動を行ったのですが、その時は1ヶ月半で決まりました。その間3〜4件の紹介があり、面接も3回ほど行いました。

その時だってMonster.comで履歴書を公開しただけで、こちらから応募をするなどの、積極的な活動をしたわけではありません。

それでも給料は15%ほど上がりました。当時はイケイケでした。

しかし今回の転職では逆に10%ほど下がっています。

なので、高齢は転職には多少不利になると思います。

雇用において年齢差別は違法だというが、、

アメリカでは雇用において年齢差別をすることは違法です。

なので、募集要項に年齢制限はありません。履歴書には年齢を書くこともありません。

とはいえ、履歴書には学歴と卒業年度を記入します。その後の職歴も、年数を入れるので大体の年齢はわかってしまいます。

なので、高齢者を雇うメリットを感じてもらわないと就職は難しいと感じました。

それが、豊富な経験からくる即戦力となりうる人材、ということなのだと思います。

まとめ

以上、50代でもアメリカで私が再就職できた理由を色々と書いてみました。

50代でも再就職は若いころに比べれば多少不利と感じます。しかし、それでも雇用してもらえるメリットを感じて貰えば再就職は可能です。

そのためには普段からいつ解雇されても大丈夫なように準備をしておくことが大切です。

あなたの探している職種が人で不足の分野なら有利となります。

そうではなくても、長年の経験からくる豊富な知識があれば(エンジニアの職ならば、「深くて狭い」知識)、武器になります。

私の場合は日本語が雇用の決め手となりました。

その他には、高齢者になると再就職までの期間が長くなると思うので、貯金はしておいた方が良いと思います。

以上で今回はおしまいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。コメントを残していただけると作者が喜びます。

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