「かしこまりました」は、目上の人からの命令に対し、「その命令を受けたことを了解し、実行する意思を示す」ということですよね。
「明日までにこの書類を仕上げてくれたまえ」という命令に対し、「かしこまりました」と言えばそれは、「引き受けました」という意思を敬意を表しながら伝えています。
日本ではビジネスシーンや、お客様に対して使われることが多いですよね。
「かしこまりました」は「承知しました」よりもさらに丁寧な言葉で、自分よりも目上の人に敬意を表す丁寧な表現です。
さて、この「かしこまりました」に対応する英語表現はあるのでしょうか。
そこいらへんをアメリカ人のルーシーに紹介してもらいます。
わたしが紹介します。
実際のビジネスシーンで使われる「かしこまりました」
というように、「かしこまりました」は目上の人に「はい、やります」を丁寧に意思表示することなのですが、アメリカでは、あまりかしこまった表現は使いません。
アメリカのビジネスシーンはもっとカジュアルなんです。ルーシーの職場を例にしてみます。
ルーシーはある金融系の企業でマネージャーをしております。顧客は最低でも100万ドル以上の資金を有しています。上流階級のお客様ばかりです。そんな顧客に対し、ルーシーはどのように「かしこまりました」と言っているのでしょうか。
やっぱり、お客様に対してはすごく丁寧な表現が必要なんだよね。Yes sirとか、Yes, ma’amとか、そんな世界なの?
はは、別に、そんなにはかしこまった言い方はしないわよ。そりゃ、友達同士のようにはいかないけど。
ルーシーが言うには、丁寧に対応したとしても以下のような単語や熟語を使って「かしこまりました」を表現するようです。
ルーシーが職場で上司やお客様につかう「かしこまりました」の表現:
- Sure (もちろん)
- Of course (もちろん)
- No problem (問題ありません。やりますよ)
お客様への「かしこまりました」の会話例
上記の単語、熟語を使った例文を以下に示します。ルーシーが日常の業務で実際に使っている表現に近いような例文を作ってもらいました。
事務員: Hello Mr. Jones, how may I help you? (こんにちわ、ジョーンズさん、ご用件をうかがいます。)
お客様: Hi, I would like a $50,000 wire to be processed today to my bank. (あぁ、今日中に5万ドル私の口座に送金して欲しいんだが。)
上記の会話の流れでの「かしこまりました」は以下のとおり、意味はどれも「もちろんできます、直ちにとりかかります」というニュアンス↓
- Sure, we will take care of it right away.
- Of course, we will take care of it right away.
- No problem, we will take care of it right away.
*ちなみに上の例文のTake care of itは、「それをやります」という意味です。「任されました」というニュアンスになります。
なお、メールでも、これらのフレーズが使えます。↓
メールでの対応例:
Dear Mr Johnson,
Sure (またはOf courseかNo problem), we will take care of it right away.
ここに細かな情報を書く、、、
、、、
、、、
Sincerely,
Lucy Pizza
Team Manager
上司への「かしこまりました」の会話例
上司に対しての「かしこまりました」もお客様との会話と同様に、SureやNo problemが使えます。
しかし、Of courceには、「お願いしてもいいのでしょうか?」の問いに対する「もちろん、いいですよ」、なので、上司からの指示に対してOf courseはちょっと不自然です。
私の上司とはもう何年もの付き合いで、親しい間柄だから、Of courceを使っちゃってるけどね。避ける方が無難ね。
それでは会話例にいきましょう。↓
上司: Hi Lucy, Mr. Jones needs his $2million wire processed today. Can you make sure that happens? (ルーシー、ジョーンズさんは200万ドル送金が今日中に必要だ。やってくれないか。)
上記のような上司からの指示への「かしこまりました」の表現↓
- Sure Mike! I’ll take care of it. (もちろん、任されました。)
- Okay, no problem. (オッケー、問題ないよ)
さらに丁寧な「かしこまりました」を表現したい場合は?
冒頭で説明した通り、アメリカでのビジネスシーンはカジュアルです。なので、厳密に言うと、前章で紹介したフレーズは日本語の「かしこまりました」に比べると、少しくだけた表現という感じがします。
でも普通はそれで大丈夫です。アメリカでは上下関係が日本に比べて希釈だからです。
しかし、さらに丁寧に、目上、あるいはお客様に対してもっと敬意を表す表現はあるにはありますし、全く使わないわけではないです。もっと日本語の「かしこまりました」に近い表現はあります。
その表現とは、Mr.…やMrs.…あるいはMiss.をつけ加えることです。これで非常に丁寧に聞こえます。
例えば、上司からの指示に対し、「かしこまりました」ならば、Yes, Mr. Johnson. や Certainly, Mr. Johnson.のように回答します。
お客様からの要望に対しての、「かしこまりました」ならば、Of course, Mr. Johnson.やI would be happy to help you, Mr. Johnson.とすれば、かなり丁寧な表現になります。
例えば、ビジネスシーンでの会話をやってみます。
「かしこまりました」上司と部下編:
上司: Mike, I have an urgent matter I have attend to. Cancel all of my meetings for tomorrow. Make sure to notify all of the related people by 3:00pm. (マイク君、急用ができた。明日の会議を全て中止にしてくれたまえ。午後3時までには関係者に伝えること。いいな。)
部下: Yes, Mr. Johnson. I’ll take care of it right away. (かしこまりました。早速とりかかります。)
というように、Yes, Mr. Johnsonから感じるニュアンスは、上の例文のようにより上下関係がしっかりしている印象をうけます。
しかし、日本語で実際に「〜したまえ」なんていう人がいないように、実際にはこんな横柄な言い方で指示を出す上司には出会ったことがありません。
まるで映画やドラマの会話ではよくでてきますが。
はは、私も出会ったことがないわ。
普通は下の例文のように上司ももう少し丁寧な言い方をします。するとYes, Mr. Johnsonはちょっと大袈裟に聞こえるので、Certainly, Mr. Johnsonくらいが丁度良く感じます。
上司と部下の会話:
上司: Mike, I have a really urgent matter I have to attend to. Can you please cancel all of my meetings for tomorrow? I would like to notify all of the related people by 3:00pm. (マイク、緊急の用事ができた。明日の会議を中止にしてくれないかな。午後3時までに関係者に伝えて欲しいのだけど。)
部下: Certainly, Mr. Johnson, I’ll take care of it right away. (かしこまりました。早速とりかかります。)
お客様に対しての丁寧な「かしこまりました」
もちろんYes, Mr. (Mrs, Miss)はお客様に対しても使います。
お客様との会話:
お客様: Hi, I need this handled as quickly as possible. Can you handle it? (ねぇ、これをできる限り早く処理してほしいのだけど。)
事務員: Certainly, Mrs Johnson, we will make sure this is completed today. (かしこまりました、ジョンソン様。本日中に処理いたします。)
お客様との会話というシチュエーションでは、上の会話例のようなかしこまった感じは、私も電話でのカストマーサービスを受けるときに実際によく聞きます。
こんな感じ↓
電話でのカスタマーサービスでの会話例:
カスタマーサービス: Hello, Mr. Pizza, how may I help you? (ピザ様、ご用件はなんでしょう。)
私: I’m having an internet connection issue. Can you find what is causing it? (インターネットがつながらないのだけど、原因を調べてもらえますか。)
カスタマーサービス: Absolutely, Mr. Pizza. Please give me a few minutes. (かしこまりました、ピザ様。少々おまちください。)
メールで、丁寧に「かしこまりました」を表現したければ、以下のようになります。
まず、文頭はHiやHelloではなく、Dear Mr. (Mrs, Miss)で書き始めると、かしこまったニュアンスになります。
しかし、My dearest Mr. Johnsonとはやらないこと。恋人に宛てたメールみたいになってしまいます。
Dear Mr. Johnson,
Thanks for your business. We are happy to process your request. (毎度ありがとうございます。ご用件を承りました。)
ここに詳しい情報を書く、、、
、、、
、、、
、、、
Sincerely,
Nancy Smith
Customer Service Manager
もう一つ、メールでの「かしこまりました」の例を下に示します。
Dear Mr. Johnson,
Of course we can help you. We will process your request by the end of the day. (もちろんできます。本日中に仕上げます。)
ここに詳しい情報を書く、、、
、、、
、、、
、、、
Sincerely,
Nancy Smith
Customer Service Manager
博士号を取得している人にはDr.を使う
以上のように、Mr.などの敬称をつけると丁寧な表現になります。大抵の人にはMr., Mrs., Missで良いのです。
ところが、博士の人には男女を問わずDr.にしなければなりません。
博士にMr.を使うと失礼になってしまいますので、注意が必要です。
私も、お客様が博士な場合には間違ってもMr.やMrs.などと呼ばないように非常に気をつけているわ。
まぁ、本当に初対面で全く知らなかったなら仕方がないのですが。
ルーシーの場合は、取り扱う商品が高額で、お客様と面会する時はあらかじめ予約を取って客間で打ち合わせ、というシチュエーションが多いので、どのような敬称で呼ぶべきかを前もって調べておくそうです。
女性の場合はMrs., Mss.を使い分けなければならない。
もう一つ、気をつけるべき点は、女性への敬称です。
男性ならMr. で良いので簡単ですが、女性の場合は既婚ならMrs. 未婚ならMiss.と使い分けなければならないからです。
既婚、未婚で区別するのはおかしいということで、既婚でも未婚でも使えるMs.なんてのもあります。
しかし、これがむずかしくて、Ms.を使われるのを嫌う女性もいます。
ってそんなの、じゃぁどうしたらいいのよ?
そうね、うちではMs.は使わないわね。お客様に会うときは事前に未婚か、既婚か調べるわよ。失礼があってはいけないから。
ルーシーはクライアントが女性の場合、前もって既婚、未婚などを調べておくといいます。
ルーシーは金融系の会社でマネージャーをしており、クライアントには失礼のない対応が必要です。
なので、女性に敬称をつける場合は非常に気をつけるそうです。
店頭などでのお客様対応で、相手の名前が不明な場合
相手の名前がわかっている場合なら、敬称をつければOKですが、店頭などで、初見のお客様では、名前などはわかりませんよね。
まぁ、普通のショッピングモール程度なら、店員さんもカジュアルな対応で大丈夫なので、日本では「かしこまりました」と言うような場面でも、普通にSure,やCertainly、No problemと返答しておけば問題ありません。
お客様: Hi, can you show me how to use this product?
上記の発言に対する店員さんの「かしこまりました」の例
- Certainly
- Sure
- No problem
店頭での対応は上記の表現で十分ですが、もう少し丁寧な対応をしたいのであれば、やはり男性の場合はSir,女性の場合はMa’amを最後に付け加えるとよいです。
店員さんの受け答えのより丁寧な「かしこまりました」の例、最後にSirやMa’amを加える
- Certainly, ma’am
- No problem, sir
- I’d be happy to, ma’am
しかし、ここまで丁寧にすることはあまりありません。ないことはないですけど。あまり丁寧すぎる表現を使うとお客様は大袈裟と感じてしまう可能性もありますし。
なお、Ma’amは年配の女性に使い、若い女性にはMissを使います。
うん、まぁ、そうなんだけど。私は実際、Ma’amと呼ばれると、「まだそんなに歳じゃない」と、ちょっと不快になっちゃったわ。
と言うわけで、女性にMa’amを使うのは注意が必要です。ちなみにルーシーは41歳です。
アメリカではカジュアルな表現で問題ないので、あえてMissとかMa’amなどを使わない方が良いかもしれません。
まとめ
以上、「かしこまりました」の英語表現について解説してきました。最後にまとめます。
- アメリカのビジネスシーンでは日本語の「かしこまりました」に相当する非常に丁寧な表現はあまり使わない。
- 「かしこまりました」のような丁寧さを求めるなら、Mr. やMrs.などの敬称+ラストネームで表現する。
- 店頭でのお客様対応などで、相手の名前が分からない場合でも、アメリカではカジュアルな対応で大丈夫
- それでも丁寧に「かしこまりました」と言いたいならば、SirやMa’amを文末に付け加える。
- でもMa’amだと年寄り扱いされたと思って不快に思う女性もいるので注意。
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