この記事ではネイティブがよく使うイディオム「Do a number on」の意味を紹介します。
辞書を調べると「Do a number on」には複数の意味があって戸惑いますが、根幹の意味を1つだけ覚えるだけで、感覚をつかみやすく、自分でも使えるようになりますよ。
アメリカ人の私が説明するわ。よろしくね。
Do a number onの英語辞典での意味と根幹の意味とは?
Do a number onをまず辞書で調べてみると、〜をひどく傷つける、〜をだます、〜をコケにする、などの意味があります。onの後はもちろん名詞がきます。
Do a number onの意味は、「〜をひどく傷つける」、「〜をだます」、「〜をコケにする」
随分と色々な意味があるものですね。何か根幹の意味から派生してこのような意味になったのでしょうか。ルーシーに訊いてみましょう。
う〜ん、確かに日本語にすればその辞書ので間違いではないのだけど、なんかこう、「損害を与える」という意味なのよね。
え、じゃぁ「損害を与える」とだけ覚えておけばいいの?
どういう事なのでしょう?例文を挙げて「Do a number on」の意味を考えてみましょう。
Lisa did a number on Stacy.
上の例文を訳してみて。
う〜ん、「Do a number on」の意味を考えると、、、
「Lisa did a number on Stacy」の考えられる日本語訳:
- リサはステイシーを傷つけた。
- リサはステイシーを騙した。
- リサはステイシーをコケにした
結局どれが正しいの?
「Do a number on」は複数の意味があるので、はっきり訳をつけるには文の前後で判断することになります。ネイティブはこのイディオムを聞いた時、瞬時にどの意味かを判別するのでしょうか?
そんなことはなくって「損害を与える」とまず最初に捉えるわよ。「傷つけた」か、「騙した」か、「コケにした」かは、言われれば確かにそうだけど、そこまで深く考えないわ。
ルーシーの言うところによると、イメージとして、相手を傷つけたり、騙したり、あるいはコケにしたりすることによって、「損害を与える」というニュアンスがあるそうです。
「Do a number on」の根幹の意味は「損害を与える」。これ1つ覚えておけばよい。
「Do a number on」を使った例文3つ
ルーシーによると、辞書のとおりでは、「Do a number on」の意味は「ひどく傷つける」、「騙す」、「コケにする」などですが、その根幹の意味として「損害を与える」をとイメージすると理解しやすいようです。
これをふまえて各意味にたいする例文を理解してみましょう。
私が英文を作りました。
「〜をひどく傷つける」の意味の例文:
Kathy’s cat is really brutal in the morning until she feeds him. This morning, while she was still sleeping, and ignoring him meowing, he bit one of her toes really hard until it bled. He did a number on her toe.
(キャシーの猫は朝食前には本当に凶暴になる。今朝、ニャーニャーと餌をねだるのを無視して寝ていると、その雄猫は彼女の足の親指を血が出るまで噛みついた。猫は彼女の足の親指をひどく傷つけたのだ。)
なるほど。猫は彼女の足に「損害を与えた」んだね。
「〜をだます」の意味の例文:
I trusted Mike when I invested into his business. I lost a lot of money. His business plan was a fake. He really did a number on me.
(マイクのビジネスに投資した時は彼のことを信用していた。おかげで大損だ。彼のビジネスプランは嘘っぱちだった。彼にはまったくだまされた。)
この例文でもマイクは私を騙して「損害を与えた」のよね。
「〜をコケにする」の意味の例文:
Andy, a supervisor of our company, pointed out a small mistake on a report William made in front of everybody in the office with a loud voice, and in a rude manner. Andy did a number on William. (スーパーバイザーのアンディはウイリアムが作成した報告書の間違いをオフィスの皆の面前で大声で、そして不躾に指摘した。アンディはウイリアムをコケにしたのだ。)
アンディは人前で罵った事でウイリアムをコケにして「損害を与えた」のだね。
そのとおり。上のそれぞれの文の「Do a number on」の訳を「損害を与えた」に変えてみて。どれも意味が通るわよ。
本当だ!ちょっと日本語が変かもだけど全部意味がとおる!
だから、「Do a number on」の意味は「損害を与える」とだけ覚えておけばいいのよ。
「Do a number on」の根幹の意味とは
ルーシーの言う通り、「Do a number on」の根幹の意味は「損害を与える」と覚えた方が良さそうです。
そこから膨らませて、辞書のいう「ひどく傷つける」、「だます」、「コケにする」に広げると良いでしょう。
日本語に翻訳する場合は辞書に載っている意味は間違いではありませんが、アメリカ人はそこまで細かく分けて使っているわけではありません。「損害を与える」というニュアンスで「Do a number on」を使っているのです。
私が「Do a number on」を使う場合は、辞書に載っているそれぞれの意味は考えないわ。「損害を与える」を表現したくて使っているだけよ。
「傷つける」、「だます」又は「コケにする」事によってを「損害を与える」と表現しているわけです。
このように考えれば、いちいち複数の意味の中から文の前後関係から判断して適切なものを選び出す事なく、文の意味を汲み取れますね。
「Do a number on」の意味は「損害を与える」でその手段がが辞書にあるように「傷つける」、「だます」または「コケにする」なのです。
もう一つ、「Do a number on」を「ひどく傷つける」「だます」「コケにする」と覚えているだけでは意味がわかりづらい例をあげます。Macmillan Dictionaryという英英辞典にこの例文がありました。
The reviewers really did a number on that film.
Macmillan Dictionary
この例文を翻訳するとどのようになるでしょうか?評論家たちが映画を「傷つけた」のでしょうか?それとも「だました」のか、あるいは「コケにした」のか、どう考えれば良いのでしょう?
文脈から察するに、評論家たちは映画を酷評したのでしょうね。
酷評?そんなの辞書に載ってないじゃん。また覚えることが一つ増えちゃった。
そんなふうに考えないで、「Do a number on」は「損害を与える」という大まかなニュアンスで覚えておけば良いのよ。
要は、「The reviewers really did a number on that film」は「評論家たちはあの映画にひどく損害を与えた」というニュアンスで捉えておけばよいのです。
映画を酷評することでその映画の興行収入を下げたり、評判を悪くした、という意味になります。よって例文の訳は以下のようにすれば良いでしょう。
「The reviewers really did a number on that film」の訳:
評論家たちははあの映画に(酷評することによって)ダメージを与えた。
Macmillan Dictionaryには上の例文と共に「Do a number on」の定義もありました。それが以下になります。
to deliberately do something that has a negative effect on someone or something
訳: (意図的に人や物に対してダメージになる事を行うこと)
Macmillan Dictionary
まさにルーシーのいう「損害を与える」という根幹の意味に近いですよね。
だから「Do a number on」はやっぱり「損害を与える」と覚えておくのがよいんだね。
- 「Do a number on」の根幹の意味は「損害を与える」
- その「損害を」与える手段が「傷つける」、「だます」、「コケにする」
- ネイティブは「損害を与える」というニュアンスでこのイディオムを使っている。その手段が何かは深く考えてはいない。
Do a number onの語源
ところで、なぜDo a number onが「損害を与える」みないな意味になるのだろう。Numberって「数字」だよね。訳がわからない。
何故と言われても私にもわからないわ。そんなものだと思って子供の頃から使ってきたイディオムよ。
というわけでルーシーにもなぜ「Do a number on 」が現在の意味を持つようになったかわからないようです。
そこで調べてみました。どうやらこの記事が一番詳しいようです。http://www.word-detective.com/2010/07/number-to-do-a/
この記事によると、Do a number onが使われ出したのは1960年代。アフリカ系アメリカ人の間でまず広まったようです。
あら、意外と新しいのね。
19世紀半ばには、演劇界のスラングとして、Numberは「演劇のプログラム」の意味で使われるようになったと書いてあります(演劇が始まる前の冊子に各プログラムに数字がふってあったため)。それが転じて「決まり切ったパターン」の意味になりました。
演目が同じである限り演劇は「決まり切ったパターン」だものね。
1960年代になると、「決まり切った行動」という意味でのNumberを遠回しに「決まり切った(破壊的な)行動」という意味で使い、そこで、Do a number on〜が「〜に破壊的な行動を行う」の意味で使われるようになったようです。
つまり、ルーシーの言う「損害を与える」だね。詳しくは上記で紹介した記事を読んでみてね。
へぇ。ふだん何気なく使っていたけどそんな歴史があったのね。
以上、今回はDo a number onの意味と使い方を学びました。ぜひ日常会話で使ってみてください。
「こいつ、英語が出来るな」と思われるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございます。コメントを残していただけると作者が喜びます。
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