現在完了形ってわかりにくいですよね。
Have + 過去分詞っていうあれです。
文法書を見ると経験、継続、完了の用法がある、などと説明されています。私もそう学校で習いました。
それで間違いではないのですが、現在完了形に出くわしたときに、一体どうやってそれぞれの用法をを見分けるのでしょうか。
完了と解釈するのと継続と解釈するのでは意味が違ってくるので困っちゃうのではないかと。
私もこういうことにはたくさん悩みました。
そこで今回は現在完了形に出くわしたとき、経験、継続、完了の見分け方を説明していきます。
最後までこの記事を読めば、現在完了形への理解が進み、スッキリすることでしょう。
現在完了形の一般的な説明
まずは簡単に文法書で一般的に解説されていることからやっていきます。
現在完了形というのは、Have + 過去分詞の形をしています。
文法の解説をみると、現在完了形というのは、「経験」、「継続」、「完了」の3つの用法がある、などと説明されています。だいたい以下のように解説されていますよね。
現在完了形の3つの用法
- Mike has lived in Tokyo for three years. は「マイクは東京に3年間住んでいる」と訳せるから「継続」
- Mike has visited Tokyo three times. は「マイクは東京に三度訪れたことがある」だから「経験」
- Mike has just finished his homework. は「マイクは宿題をたった今やりおえた」だから「完了」
と、上記のような例文で説明されていることが多いです。でも、この説明だけだと、経験、継続、完了をどうやって見分けるのよ?という説明がなされていません。
そりゃぁ、Have finishedだったら「終えちゃった」だから直感的に「完了」かな、なんてわかると思いますが、Have finishedだけが完了を表すわけではありません。
だいたい現実世界では文法書に出てくるような、用法が簡単に推測できるケースばかりではありませんよね。
だから悩んじゃうのではないでしょうか。
あるいは、上の例文でHave livedではなぜ「継続」と解釈して、今でも住んでいることになっているのか?「経験」と解釈して、住んでいたことがある、としてはいけないのか?、とか。
今回はそこいらへんの解説をしてみようと思います。
Have+過去分詞、現在完了形の各用法の見分け方とは?
さて、それではHave+過去分詞に出くわしたときの「経験」、「継続」、「完了」の見分け方を解説していきます。
使われる動詞のタイプによってちょっと違うので、まず、Own(所有する)という動詞を使って現在完了形を説明してみます。
少しずつ噛み砕いて説明していきますね。
まずはOwnの現在形からみていきます。下の例文をご覧ください。
Mike owns a restaurant.(マイクはレストランを所有している)
上の文では、マイクは「今現在」レストランを所有しています。過去には一切触れていません。
今度はこのOwnを過去形にしてみましょう。すると、
Mike owned a restaurant.(マイクはレストランを所有していた[今は所有していない])
ということになり、過去に所有していたが、今は所有していません。
ではこれを現在完了形にした場合はどうでしょう?
Mike has owned a restaurant.
この文をどう解釈しましょうか?
さまざまな文法書で説明されているように、現在完了形には経験、継続、完了の用法があります。この文の場合にはどれに当たるのでしょうか。
- 経験?マイクはレストランを所有していたことがある(今は所有していない)
- 継続?マイクはレストランを過去から現在にわたって所有している(今も所有している)
- 完了?マイクはレストランの所有を完了した。(これは意味不明)
最後の「完了」は日本語にすると意味が不明なので、完了のせんは除外できますね。
だいたい、「完了」と「経験」は意味的に似ていて、ネイティブはこれらの違いを意識しているとは思えません。日本語訳にすると変になる時があるから仕方がなく完了と経験を分けて紹介しているのではないでしょうか。
とまぁ、「完了」は除外できましたが、それでも「経験」なのか「継続」なのかハッキリしません。さぁ、どちらでしょう?
アメリカ人のルーシーに訊いてみました。
ルーシー、どっちよ?
えっと、Mike has owned a restaurant. でしょ?う〜ん、これだけじゃわからないわ。
そうなんです。じつはこれだけでは判断できないんです。どちらかは前後の文脈や、付け加えられた情報によります。
完了形はそれだけではどの用法か特定できないのです。
発話者から上記の例文みたいなことを言われて、マイクは今現在レストランを所有しているのかどうかわからない、と悩んでも仕方がないのです。曖昧な表現を使った発話者に問題があります。
現在完了形が出てきた場合、どうやって経験、継続、完了かを見分ければ良いのか、とずっと悩んでいた人は馬鹿らしくなったのではないでしょうか。
しかし、これが現実です。
こう言うことをハッキリと文法書が説明してくれないから混乱しますよね。
なので、継続か完了かを特定するには更なる情報が必要です。
というわけで、現在完了形の用法を確定させるには、情報の追加が必要なわけですが、どんな情報を追加すれば良いのかを以下で説明します。
現在完了形で「継続」を表したい場合
レストランを所有し続けている、のように継続を表したければ、その期間、あるいはいつからか、を示す必要があります。
例えば、所有する期間を明確にして、
Mike has owned a restaurant for three years.(マイクはレストランをもう3年所有している[今も所有している])
というように For three years(3年間)という期間に関する情報が追加されていれば、「継続」で決まりです。
あるいは、いつから、という情報を加えても「継続」を表します。
Mike has owned a restaurant since last summer.(マイクは去年の夏からレストランを所有している[今も所有している])
上の文はSince last summer(去年の夏から)という情報を加えたので、「継続」の意味になりました。
現在完了形で「経験」を表したい場合
「所有したことがある」というように、「経験」を示したければ、回数などを加えます。
Mike has once owned a restaurant.(マイクは一度レストランを所有していたことがある[今は所有していない])
こうすれば、Once(一度)という回数が入っているので「経験」だと言うことが確定します。
過去だということを特定するためにIn the pastを追加しても「経験」になります。↓
Mike has owned a restaurant in the past.(マイクは過去にレストランを所有していたことがある)
上の文では、「過去に」と言っているので、今は所有していないことが明白です。「経験」ですね。
さて、現在完了形はそれだけでは用法が決まらなくて、更なる情報が必要だ、と言うことを説明しました。
これで現在完了形の理解はバッチリ、と言いたいところですが、残念ながらそうはいきません。
先程はOwn(所有する)という動詞で現在完了形を説明しましたが、これが例えばWash(洗う)のような動詞だとちょっと状況が違ってきます。
Washのような動詞では現在完了形に「継続」の用法がありません。原則的にですが。
その理由は後ほど説明します。
今はとりあえず、Washの現在完了形をどのように解釈していくのかを解説します。
ちょっとゆっくりと解説していきますね。
以下の例文の意味を考えてみます。
Mike has washed his dishes.
さて、上の文はどのような意味になるのでしょう?以下の3つが考えられます。
- 経験?マイクは皿を洗ったことがある
- 完了?マイクは皿を洗い終わった。
- 継続?マイクは皿を過去から現在に至るまで洗い続けている←これは除外して良い
まず、Washという動詞では「継続」は原則的に除外できます。理由はあとで説明します。
次に「経験」か「完了」ですが、日本語に訳すのでなければ、どっちに解釈しても構わないでしょう。
例えば、
Mike has washed his dishes three times.
なら、マイクはお皿を3回洗った、ですね。
翻訳するわけでなければ、「経験」と解釈して「3回お皿を洗ったことがある」、としても、「3回の皿洗いを完了した」と解釈してもどちらでもかまいません。
まぁ、日本語に訳すのなら3回洗ったことがある、という言い方はあまりしないので、3回の皿洗いを終えた、という訳になるのでしょうが、ネイティブはそんな日本語にどう訳すかなんてこと気にして完了形を使っているはずはありません。
と言うわけで、Washのような動詞の場合、「経験」か「完了」で、日本語に訳すのでなければ、どちらの解釈でも構わない、という結論です。
ちなみに上の文は単純に過去形にして、Mike washed his dishes three times.でもOKよ。意味は同じようなものね。
しいていうなら、単純な過去形の方がより昔にやったようなイメージかな?でもまぁ、同じと考えてよいわ。
なぜWashの場合、「継続」の意味にならないのか
さて、Washのような動詞では、原則的に「継続」の用法は除外して良いと説明しました。
それはなぜか、前のほうで解説したOwn(所有する)の場合とどう違うのかをここで説明します。
結論から言うと、Washの現在形は現在の行動を示しているわけではないからです。このような動詞を完了形にした場合、原則として「継続」はないです。
これだけでは何を言っているのかわかりませんよね。順を追って説明します。
皿洗いの例文を現在形にしてみると、
Mike washes his dishes.(マイクは皿を洗う)
ですよね。「皿を洗う」とは、いつ皿を洗うのでしょうか?
Washという動詞は現在形にしても、今現在洗っていることにはなりません。
「洗う」という習慣を表していて、いつ洗うかは説明されていないのです。下の例文をみればそれが一層明確になります。
Mike washes his dishes every morning before going to work.(マイクは毎朝出勤前に皿を洗う)
というわけで、「毎朝出勤前に皿を洗う」という習慣を表しています。
今現在洗っているわけではありません。
今まさに皿を洗っているのならば、現在進行形にして、
Mike is washing his dishes.(マイクは[今現在]皿を洗っている)
にしなければなりません。
この、Washのように、現在形が現在の行動を表さず、習慣などを表す動詞には、Sing, Eat, Study, Walkなど、色々ありますよね。
それぞれ、今この瞬間に行動していることを表すには現在進行形にしなければなりません。I am singing, I am eating、I am studyingなどなどのように。
対して先程紹介した動詞、Ownはちがいます。
Mike owns a restaurantといえば、マイクは今現在レストランを所有しています。Mike is owning…と、現在進行形にする必要がありません。
というか、現在進行形にしたら間違いです。
Ownのような動詞ならば、現在完了形にした場合に「継続」を表す可能性があるのは、記事の前の方でで示した通りです。
この、Ownのような動詞には、Know, Believe, Love, Resemble などがあります。それぞれ、現在の行動を表すのに現在進行形にする必要がありません、というか、現在進行形にしたら間違いです。
ひるがえって、Washのような、現在の行動を示すのに現在進行形にしなければならないような動詞を現在完了形にした場合は、「継続」の意味にはならないのです。
だから、
Mike has washed his dishes.(マイクは皿を洗った[洗い終わった])
というわけで、「完了」を表すことになります。
まぁ、経験と解釈して「マイクは皿を洗ったことがある」と言うふうに訳した方がしっくりくるシチュエーションもあるかもしれませんが。
ネイティブはそんな、経験か、完了かなんてことを意識していないです。英語にそういう発想がないので。
それでも「継続」を表したい場合
では、「マイクは30分以上も皿を洗い続けている」というような、「継続」を表す表現方法はないのでしょうか?
はい、あります。
「継続」を表したければ、現在進行形と現在完了形を組み合わせて、Have been doingの形にするとよいです。
Mike has been washing his dishes for more than 30 minutes. (マイクは皿を30分以上も洗い続けている[今も洗っている])
のようになります。
Studyの場合
Study(勉強する)という、習慣を表す動詞を現在完了形にして、「継続」を表す、という説明をしているサイトを見かけました。
ちょっと気になったので、アメリカ人のルーシーにどう感じるかを確認しました。
Mike has studied at the library since 8:00am. みたいな例文を「継続」と解釈して、「マイクは午前8時からずっと勉強している」と紹介していたのを見たんだけど、、、
ルーシーどう思う?
う〜ん、変な言い方。普通はMike has been studying…っていうわ。
と言うわけで、やはり現在形が現在の行動を表さず、習慣などを表す動詞を現在完了形にした場合、原則として「継続」の意味にはなりません。
ただし、例外がないルールというのもないもので、上記のような動詞でも「継続」を表す場合があります。
それは習慣が継続している場合です。
先ほど説明した通り、Mike washes his dishes every morning.といえば、「毎朝皿洗いをする」、という習慣を表していますよね。
この習慣が「継続」している場合には現在完了形でそれを表現することができます。
Mike has washed his dishes every morning for three years.(マイクは毎朝の皿洗いを3年間続けている)
「継続」だからと言って、3年間休みなく皿洗いをし続けているわけではなく、皿洗いの習慣を継続している、というところに注目です。
ちなみに上の文はMike has been washing his dishes every morning for three years.と、現在進行形の現在完了形にしてももOKよ。意味も同じ。
だから、Studyの場合でも、
Mike has studied Math for three years.(マイクは数学を3年間勉強している[今も習慣として勉強している])
なんてのはありです。3年間寝ることもなく、食事もしないでずっと勉強しているわけではなく、3年間習慣として勉強しているわけですから。
まとめ
と言うわけで、現在完了形に出くわした場合にどのように用法を見分けるのか、を解説しました。できるだけわかりやすく解説してみました。
わたしは学生の頃、英語が大の苦手でした。なので、自分がつまづき、悩んだところをわかりやすく解説しました。この記事を読んで救われる人がいれば幸いです。
最後にまとめます。
- 現在完了形はHave+過去分詞の形
- 現在完了形には3つの用法、経験、継続、完了がある。
- 現在完了形の文はそれ単体では用法の見分けはつかない。
- よって、それぞれの用法の見分けは文の前後関係や、期間、回数などの追加情報をみて判断する
- Washなどの、現在形が習慣を表す動詞の現在完了形は原則として「継続」を表さない。
- それでも継続を表したければHave+been+doingという手がある。
- 現在形が習慣を表す動詞の完了形が経験を表すのはその「習慣の継続」を表す時。
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